はもブログ

まだジャンプを見分けられないまだ国旗も持ってないスケオタになりきれない永遠の初心者はもによる、ただただ羽生結弦さんへの愛を叫ぶ、羽生結弦さん試合観戦記※ほぼお茶の間たまに現地

全日本選手権2020私感

よくぞ出てくれたと思う。

全日本選手権2020。



心のどこかで探していた。
淡い期待を抱いていた。
「ひょっこりいてくれるんじゃないか…安心感たっぷりのフォルムと愛敬たっぷりの笑顔で…ねぇ、ジスラン…!」と。

当然いなかった。
羽生くんは本当に一人だった。
コロナ禍での開催、コーチ不在、両プロとも新プロ、今季初戦が全日本、そもそも2月四大陸以来の生羽生。
もう、始まる前からてんこもり。

事実、試合前から主役は羽生結弦だった。
試合にエントリーしただけで新聞記事になるのだ。
私なら間違いなく逃げ出す。

よくぞ出てくれたと思う。


少し前の話になるが、
平昌オリンピック前に発行されたフィギュアスケート・マガジンに掲載された座談会記事。

オリンピック後の羽生くんに期待すること、という話の中で、
吉田記者‪が「平昌後コーチをつけずに一人でやっていく姿も見たい」‬と仰っていた。

私はそれを見てどきりとしたものだ。
これまでも個人競技のベテラン選手が
コーチの元を離れ一人で心境新たに競技に挑むケースをいくつか見たけれど、
その難しさを突き付けられることの方が多かったから。

一人で練習メニューを考え、一人で練習し、一人でその日の練習を分析し明日に繋げる。
長いスパンで計りピークを合わせる。
年齢が上がる分、当然若い頃と身体が違いリカバリー力も違うので、若い頃と同じ練習という訳にはいかない。
全てゼロから一人で積み上げていくようなものだ。

何より、その一つ一つの選択・決断が正しいのかがわかりにくい。
上手くいっている時はいいが、そうでない時に何をどう修正すべきか迷い、やり方を変えることにも勇気がいる。
やはり自分を客観視して助言をくれる目はそばにいてほしいと思う。

一人だと、それができない。


世界選手権が中止になって以降、そういう状況に羽生くんはあったわけだ。
“一人でやっていく”状況に。

もちろん全くの一人ではなかったはずだ。
リモートでコーチの指導は仰いでいただろうし、ご家族と、ご家族以外にもサポートしてくれる方もいただろう。

羽生くんほどの選手にコーチが教えられること、実は技術面では今はもうあまりないのかもしれない。
新しく習得しようとしている4Aも、成功例のない未知の技である以上、教えるというよりは一緒に模索するイメージか。
多くは、日々の微妙な身体と調子の変化をいかに変動幅を少なくコントロールするか、いかにピークを試合に合わせていくか、そばにいてコミュニケーションを取るとか、そういったことだろうか。

しかし、それがとても大きい役割なのだろうなと思う。
見守り「大丈夫だ」と「間違ってないよ」と言葉をかけることが。
その言葉が羽生くんの背負う荷物を軽くすることもあっただろう。

だから、この数ヶ月の一人の練習は本当にきつかったと思う。
しかもコロナ感染対策に人一倍の注意を払いながらである。

「3Aもとべなくなった」
「もうやめようと思った」
「暗闇の底に落ちる感覚だった」
という衝撃的な言葉たち。

本当に、よくぞ、よくぞ出てくれた。

どん底まで落ちきったところから、
「うまくなりたい、覚悟して出るならいい演技をしたい」と発奮し
「やっと心から勝てたと言える演技ができた」と言えるに至ったのは、たまたまじゃない。
羽生くんの力だ。
たとえ一人でも、
これまでの、常に自分自身と深く対峙し、自分で考え実践してきた羽生くんがいるから。
羽生くんだから、一人でもどん底から上がってこれたのだと思う。
しかも最高の状態で。
それはもう、お肌もつるつるふくふくぴっかぴかだ。


信じられない完成度の演技だった。
心を揺さぶられる演技だった。
今ここに生きていることを実感できる演技だった。

2020年の今大会、コロナ禍で開催された全日本に、
羽生結弦はいなくてはならなかったのだと理解した。

圧倒的強さで勝利した“王”にしか届けられないメッセージがある。
今、世界にはそれが必要だった。





今大会の羽生くんを、後輩たちはどう見ただろうか。
刺激されないはずがない。
アスリートとして、男として、一人の人間として、憧れる全てがあると言っても言いすぎではないだろう。
憧れは強くなりたいと願うきっかけにもなる。そう、羽生くんはそうやって、
自分が強くなることで周りも強くする人なのだ。
チキンな私には痺れる状況だが、でも大丈夫。
羽生結弦は「俺はここにいる」と強く、さらに強くあり続けてくれる人だから。
(しかし、これほどの男が、見た目可憐な美女なのがほんと意味わからんすぎて大好きすぎる)

そして、遠く離れたクリケットの家族たちはどうだっただろうか。
きっと、見ていてくれたね。
何もなくなった、とまで言ったあの日から一年。
一人でも一人じゃないと思える絆が、確かに
ある。




様々な人の様々な不安が交錯する中で開催された今大会。
フリー演技直後に羽生くんは
「どこからでも応援していただきありがとうございました‬」と言ってくれた。
私含むお茶の間組だけでなく、世界中のファン、熟慮の末にチケットを手放した方達のこともきっと知っていての言葉だろう。

本当に今大会が成功だったと言えるのはまだ少し先だろうか。
どうか、全ての選手・関係者・観客が健康でありますように。
何を正解とし何をそうしないかは難しいが、
連盟やTV局には今やるべきこと今やるべきでないこと、何が選手ファーストかということを今一度考えていただきたい。
王者が今大会を通して示してくれた一つのあるべき姿をその目で見たはずなのだから。


最後に改めて、
羽生くん、全日本優勝おめでとうございます!!!


記念のプロトコル!

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(ノーカンについてはもうね…ジャッジには、公平性とは何ぞやと問いたい…)


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余談だが、今大会中の個人的ツボ。
・開会式会場に入場する際の、ダウンジャケット×スーツ姿。昨年N杯あたりから急にスーツ姿が垢抜けて焦っていたので(何を?)、「そうそう、こうでなくちゃ」と一安心。
・いつもより沢山聞けた仙台弁?アクセント。
・スケート研究してる時ってこうなんだろうな…と普段の姿が垣間見れた、キスクラでのモニター見ながらの一人喋り。
・隠しきれないご機嫌さ。いや隠さなくていい。羽生くんのパブリックイメージにはないかもしれないが、こういう所が人間っぽくて、ウチのゆづるくん可愛いでしょー‼︎って言いたくなるのである。
どうかずっとそのままのキミでいて。