今ここにある世界。
ちょっと!もう4月も終わるんですか⁈
全日本後、羽生くんは本当に本当に落ち込んだだろう。
フジ「羽生とゆづる」のインタビューで見たように、もうこのまま羽生くんの心に灯るろうそくの火は儚く消えてしまうかもしれない、とさえ思えた。
「羽生とゆづる」を見たうちの子供たちは、見たことのない羽生くんの様子に呆然としたような顔で「羽生…調子悪いの…?」と聞いてきた。
勿論そうではないことは私達ファンは知っている。
GPFと全日本、負けがついた2試合だけをことさら強調し、シーズン全体を通して見ようとはしてくれないテレビ的在り方でしかない。
だがそうと分かってはいても、子供たちが心配してしまうほどに、その時の羽生くんは消えてしまいそうだったのは確かなのだ。
これを乗り越えるには勝利、そして自分は自分であるという自信が必要。
ジスランも言っていた。「結弦が結弦であるために」と。
言うのは簡単、実行するのは難儀な事を、羽生くんは全日本から一月足らずの四大陸で成し遂げた。
自分の力で羽生結弦が羽生結弦である事を証明してみせた。
消えてしまいそうに見えたろうそくの火がまた青く灯った。
赤く灯るより熱く。
スーパースラム達成も歴史に残る快挙で嬉しいけれど、それより何より一番嬉しかったのは羽生くんが自分の方向性は間違っていないと自信を持てたことだった。
ワールドへ向けていい練習ができるだろうと思っていた。
シームレスなSEIMEIを演じるために。
最強の自分だと胸を張って言うために。
しかし、ワールドが中止になった。
今シーズンに突然幕が下された。
羽生くんにとってのそれは、他の誰より覚悟を伴うことではなかっただろうか。
とてもとても重い言葉。
現役続行は勿論嬉しいが、その重さをしっかりと受け止めることができずにいた。
それがジュエルズでのインタビューを読んでシンプルに、
ああ、羽生くんはやっぱり4Aを跳びたいんだなと思えた。
もっと言えば、4Aを跳んで勝ちたいんだなと。
北京まで!とか、三連覇!とかではなく、やっぱり4Aなんだなと。
もう、なんだろうね、4Aって。羽生くんにとっての何?3Aが親友なら4Aは…。
…ジェラシーすら感じてきた。
(SEIMEI様ぁ…!またいつかお会いしたく存じます…!そしてその手で捻り潰されたい所存…!)
まぁジェラシーはともかく、
私の勝手な解釈と言われればそれまでだが、私はジュエルズでの羽生くんの言葉をそう解釈した。
そして気付けば、受け止めきれずにいたものが自分でも驚くほど軽やかにストンと胸に落ちていた。
本当に、なんて人だろう。
なんて真っ直ぐな人だろう。
真っ直ぐであるがままで、いつも前を向かせてくれる。
きっとそれがスポーツの力であり、羽生結弦という稀代のアスリートが持つ力なのだと私は思う。
本当はこんな苦難の時だからこそ必要な力なんだよね。
コロナが終息した時、不要不急で切り取られた価値観はどんな新しい世の中を作っているだろうか。
まだ何かを見通せる時ではないけれど、その世の中でスポーツが、羽生結弦が果たすものは決して小さくないはずだ。
その時のために今は体を休めて力を蓄えていてほしい。
私は私で微力ながらできることを。
一日も早くコロナが終息しますようにと願いながら、明日も私は、ただ粛々と引きこもる。