はもブログ

まだジャンプを見分けられないまだ国旗も持ってないスケオタになりきれない永遠の初心者はもによる、ただただ羽生結弦さんへの愛を叫ぶ、羽生結弦さん試合観戦記※ほぼお茶の間たまに現地

春の到来。その先の世界。

ニースもヘルシンキも知らない。平昌もギリギリだ。でもーー。


今更書くことに意味があるのか迷ったが、やはりこれをまとめないことには自分の昨シーズンが終わらないので、はずかしながら書いてみようと思う。
もはや意味も何の新鮮味もなく、自分の記憶を残すためのものでしかないけれど。(いつもそうだけれど。)
世界選手権2019さいたまの私の記憶。


大会前、私の心は揺れに揺れていた。
羽生くんがビシッと軸が通ってぶれることなく練習に励んでいたであろう頃、こちらはもうぐらんぐらんだった。

羽生くんなら大丈夫やってくれる!という至極勝手な期待と、いやでも奇跡がそう何度も起こるんか?そう何度も起こらんから奇跡って言うんだし…というこれまた至極勝手な憂慮。
この二つの感情が日毎に、というか時毎に、交互に顔を出すのだ。

とにかく気持ちが落ち着かず常に緊張していたと思う。

私が普段しない善行を慌てて施したところで羽生くんの演技に何も影響はしないとわかっていても、いつもは叱ってばかりの息子をやたら褒めたり、誰もやりたがらない任期3年のPTAの役職を受けたり(!)することで少しでもプラスのエネルギーを送るんだ!と思っていた。
鬼の意思で6階の自宅までエレベーターではなく 階段を使い、この苦行を私が担うことで羽生くんの負担が少しでも減るかもしれん!と思って日々を過ごしていた。
いや、本気で。(こわい)
新月の願い事は叶うと聞けばすぐさま紙とペンを用意してフライングしたりもした。

今思うと本当に滑稽なほど落ち着いていなかったが、つまりは、ひとえに羽生くんの勝利を祈っていた。
勝つことが全てとはその時も今も思っていないが、羽生くんが「これまでの羽生結弦をこえて己に勝った上で圧倒的に勝ちたい」との強い思いで試合に出る限り、私は羽生くんの勝利を祈らずにはいられない。



迎えたショート。

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このギャラクシー感に、どんな宇宙大戦争が始まるというのか…!と気分が高まる。


私にとって初めての羽生くんの試合。
羽生くんが会場に姿を現すと、会場中の視線が羽生くん一点に注がれた。
otonalの衣装はそれまでより遥かにキラキラしていたような気がしたが実際のところどうなんだろうか。
生羽生くんの発光するオーラがそう見せたのか。
確かなことはわからないがとにかく、双眼鏡越しに「キラッキラだ・・キラッキラだ・・」と熱に浮かされたように繰り返していたのは確かだ。
オーサー&ジスランの元に滑ってくる羽生くん、水分をとる羽生くん、鼻をかむ羽生くんが正面だったので(距離はある)最初は少しはしゃいでもいた。

しかし、段々と空気はピリリッと張り詰めていく。
私にとって初めての羽生くんの6練。
ぴょん落ちスケートど素人の私には6練の出来がどうだったのか、その場ではわからなかった。
会場の暑さが演技にどう影響するのかも。
一番滑走なのに6練終了ギリギリまでジャンプを跳んでいたのを、どう調子を読み取っていいのかもわからなかった。


そして、6練で最後まで跳んでいた4Sが2Sになった時私は、「あぁ…!」とため息を送ってしまった。

私の席からキスクラの様子は見えなかったが、会場モニターに映った羽生くんの顔は明らかに怒っていた。ように見えた。

そうだろう。フィンランド、ロシアと磨き上げてきたプログラムをここ日本で完成させたかったに違いない。
己への怒りを色濃く映し出す汗の噴き出したその顔を、私はただただ悲しい気持ちで見ていた。
ミス、点数が悲しかったのではなく、今日この一日を羽生くんがこのような顔で終えることが悲しかった。

隣の席のプル様ファンの方に「大丈夫!ゆづ君のあの顔はフリーできっとやってくれるよ!」と励ましてもらって何とか帰路に着くことができた。
そして少しばかり冷静になったところで、つい俯いてしまいそうな自分を必死に振り払い、もう決して落胆のため息を送らないことを誓った。


中日。ショート前までの練習とはガラッと雰囲気が変わったことをTwitterで知る。
どんな明日が待ち受けているのか、怪我だけはありませんように、とまだ冷える夜空に願いを込める。


フリー当日。
私はここで痛恨のミス。アイスダンスが始まる時間に会場に入ったのだ。さすがワールド、もう観客席びっしりやん、と思っていた。
それが周りの方達の会話から、見れたはずの羽生くんの練習を自分が見逃したことを知った時の衝撃をご想像ください。
同情しますよね、あの魂の8分間をみすみす見逃したんですよ?
だって、だって、公開練習のチケット別売だったじゃん、何で今日は試合チケットで練習まで見れんの…?フィギュアワカラナイ…。キクヒトイナイ…。
単にリサーチ不足でしかないのだが、その時は数時間前の私を心底恨みましたよ。「早よ行かんかい」と。

でも考えようによっては見逃して良かったのかもしれない。
本来なら羽生くんが観客には見せない姿だろうから。
それと、その姿を見てしまっては緊張が度を超えて私はこわくて羽生くんの出番には席を立っていたかもしれないから。


いよいよ最終グループが会場入り。羽生くんは6人の中で一人なかなか姿を見せず、まさか怪我⁈と不安がよぎる。だから姿を見せた時は、生originのオルバの破壊力に撃ち抜かれるより何より「来た‼︎」と安堵した。
そんな自分に喝を入れる。強い気持ちで応援することを誓ったじゃないかと。

ひたすら手を合わせて祈る。羽生くんはきっとループを跳んでくる。お願い、成功しますように。

たまアリは巨大なすり鉢状のハコ。

リンクの中央から見上げると四方に壁が反り立つような景色ではないだろうか。その壁を埋め尽くす観客。

何を思いリンクに飛び出していったか。無心だったか。

その心の内を想像するだけで私なんかは足がすくむ。


否が応でも緊張感の高まる吹雪く風と鐘の音から、ループまでの時間が長く感じられる。
真っ直ぐな軸を保ったままランディング。
思わず立ち上がりそうになる。ぐっと拳を握りしめる。

耐えた4S。がんばれがんばれ!と小さく、でも強い気持ちで声をおくる。

後半、連続ジャンプの固め打ち。
4T3Aを決めたところで会場が一段跳ね上がる。
(ちなみに私は、4T3A直後のふん!ってポーズが気に入っている。どうだ!って感じがして、あの一瞬だけほっこりしませんか?)

最後のジャンプが3Aからの3連続ジャンプっていうのがいつも訳がわからなくて痺れる。
そこからレイバックイナの流れは本当に涙が出るほど美しい。

ラスト、より曲調が激しくなるアラビアンからステップの時(合ってますか?)にはもう皆お尻が椅子から浮いていたと思う。とても座ってなどいられない。
羽生くんが左手を突き上げたフィニッシュポーズが合図となって大歓声が会場の天井を吹き飛ばした。

歓声で天井が吹き飛んだ、とはこれまでも何度となく羽生くんの演技を通して聞いていた表現だが、正直どんな感じなんだろう?と思っていた。
しかし体感した身としては、まさにそうとしか言い表せない。
本当に、歓声が会場ごと大きく揺らし天井が吹き飛んだのだ。凄い。
私はひたすら「やったー!やったー!!」と叫びとびはねていた。

羽生くんはやってのけた。決めるべきところでまたも決めた。


私はニースもヘルシンキも知らない。平昌もギリギリだ。でも、このさいたまワールドを知ることが出来た。
この瞬間と空間を体感し共有することが出来た。
何と幸せなことだろう。
この記憶を絶対に忘れない。

羽生くんが今日この一日を、悔しさを滲ませながらも清々しさを湛えた顔で終えられたことが嬉しかった。




翌日エキシで春風を起こし、その風の中を澄んだ迷いのない表情で疾走していた羽生くんを見ながら思った。
(ここでまた、どうでもいい痛恨のミス。FaoIで散々記憶を消されてきたから今日の春さんは絶対に脳裏に焼き付ける!と羽生くんだけをガン見していたおかげで、羽生くんの動きに合わせリンクに花が咲く演出に全く気づかなかった。見たかった。時には俯瞰で見ることの大切さを学んだ)

これまで羽生くんは試合の一つ一つを未来に繋げてきた。
私はヘルシンキワールドでの勝利がなければ平昌での勝利はなかったと思っているし、平昌までの経験がなければこのさいたまワールドまでの経験はなかったと思っている。
とても書ききれないがそれ以前も羽生くんは、ずっとそうして経験を繋いできて己を強くしてきたはずだ。

であれば、この敗北にも必ずや意味がある。
羽生くんは何一つとして無駄にはしない。
必ずや近い未来への布石となる。


フリー後に出演した番組の中で、羽生くんは今季フリーをoriginに決めたことについてこう語っていた。
「子どもの頃の自分が最終的にここまでたどりつけたらいいなぁみたいな感じがありました。」
そこからスタートし、シーズンの締め括りとなったさいたまワールドでのoriginを、羽生くんはどう受け止めたのか。
私には知る由もないが、最終的な到達点はまだまだ先だということは感じたのだと思う。
夢だった4Aは夢ではなくなった。勝つための手段、携えるべき武器になった。
その武器を羽生くんが確実に自分のものとした時、そこにはどんな世界が待っているのか。
私達もまた新たな広い世界を目にするのだろう。



ただ一点、どうか怪我なく。
テレビで放送されていた、オーサーとトレーシーに背中をさすられながら振り絞った「練習したい」の声が忘れられない。
どうかどうか、思い切り練習ができますように。





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エキシ終了後、皆が名残惜しそうに羽生くんを取り囲むの図。遠い、遠いよ、羽生くん。

ありがとう!さいたまワールド!
ありがとう!羽生くん!!!