はもブログ

まだジャンプを見分けられないまだ国旗も持ってないスケオタになりきれない永遠の初心者はもによる、ただただ羽生結弦さんへの愛を叫ぶ、羽生結弦さん試合観戦記※ほぼお茶の間たまに現地

沼へのいざない。私の場合。

スケート界隈では7月1日を新年とするらしい。
その日Twitter上には「あけましておめでとう」と、選手の健康と活躍を願う声が溢れていた。

そんなこと2年前の今頃の私は知る由もなく、はっきり言ってしまうとフィギュアスケートに一切の興味も持っていなかった。

それからわずか7ヶ月後に私の人生は激変した。表面上は何も変わっていないかもしれないが、その中身はあるもの一色になった。
言わずもがな、羽生結弦だ。

2018年の平昌オリンピックを境に激変したわけだが、“全く興味なかったけどたまたま見たバラ1もしくはSEIMEIに雷落とされた”という話ではない。
そういう経験もしてみたかった気もするが、そうではない。

私の場合は、オリンピック前から、今思うとあまりに無防備に、知らず知らず、沼に近づいていっていた。
いつからかと言うと、あのN杯後、つまり怪我による戦線離脱後からである。

それまでももちろん羽生くんのことを知ってはいた。だがそれは、ソチで金メダルを取ってその後も活躍を続ける絶対王者という、ざっくりとしたイメージでしかなかった。
ソチ後の活躍と言っても詳しくは知らなかった。
中国杯での事故や初の300点越えやヘルシンキでの大逆転など、ニュースで大きく取り上げられていただろう試合の数々を私は目にしていたのか。目にはしていたけど興味を惹かれなかったのか、今となってはそれすらも定かではない。
はっきりしているのは、羽生結弦がそれほど当時の私の世界から遠い存在だったということだ。

そんな自分に、戦線離脱を余儀なくされ苦境に立つ王者の存在が目にとまった。
オリンピックが近づき報道が過熱していく中、その情報の断片に触れるごとに「大丈夫か、羽生くん」と心配をし始めた。

その時は自己認識していなかったが、今ならわかる。
私は羽生くんに勝ってほしかったのだ。
よく知りもしない選手に勝ってほしいと願うのはおかしな話かもしれないが、他の誰かではなく羽生くんに勝ってほしかった。

世間は時に、王座陥落・世代交代なるものをのぞむ。
確かに、若さと勢いに満ちた挑戦者が圧倒的な強さを誇る王者を倒すというストーリーは面白い。
事実ソチシーズンの羽生くんはまさにそれを体現していたはずだ。挑戦者の側で。
序盤のGP2戦の敗北を布石とし、ファイナル勝利で王手をかけ、本丸オリンピックで文字通り王を奪取するーー当時を知らない自分が今見ても十二分に面白い。

しかし私はその面白さを求めるより、如何なる状況に置かれたとしても、苦境に立たされても尚、王者にはその強さを誇る王者であってほしいと思う性質があった。

王者が抱える孤独や誰より重い覚悟を思う時、挑戦者よりも強く惹かれてしまうから。
修羅の道を越えて下界からは見えない高い高い山の頂に一人立つ王者にこそ、勝利が似合う。

だから羽生くんに勝ってほしかった。


そうしてそろそろと沼に近づいていっていた所にあの発言である。

「(金メダルを)誰が取ろうと僕も取ります」

どうしてそこまで自分を追い込む必要があるのかと目眩がする思いだった。
置かれていた状況を考えれば言い訳しても許されるほどなのに、自ら退路を絶った。バッサリと。
そんなこと言ってもし取れなかったらーーと凡人の考えを抱く。
この子、こわい。そう思った。

もう羽生結弦から目が離せなくなっている。


迎えたショート。
私は予定がありリアルタイムでは観戦できなかったのだが、それが終わった瞬間スマホを開きネットニュースで“羽生首位発進”の文字を確認し大きく、大きく安堵したことをはっきりと覚えている。
それからテレビで演技を見た。

これが羽生結弦かと。初めてその凄さを知った。
素人に何がわかると言われそうだが、テレビでオリンピックを見ていたのはほとんどが素人であり、その素人達が感動したのだ。

もちろん技術のことは全くわからない。
それでも、ディフェンディングチャンピオン、66年振り連覇の期待、怪我、長期離脱からのぶっつけ本番etcという幾つものプレッシャーを抱えてあの広いリンクに一人飛び出す、その心の内を想像するだけで胸が締め付けられる。
そこにきて、あの演技。

力みなど全く感じさせない、まるで音楽そのもの。

私の貧相な語彙ではあの演技を表現することなどできないが、とにかく、私はそれまでいた世界を根こそぎひっくり返され新たな未知の世界に誘われたのだ。あのバラ1によって。

フリーのSEIMEIは、こわかったけれどリアルタイムで見た。ひたすら両手を握りしめて。祈りながら。

緊張しすぎて、演技後は一気に力が抜けた。
喜びを爆発させる羽生くんを呆然と見ていたと思う。

本当に金メダル取っちゃったよ。凄い。凄い。
もう、凄いの一言しかなかった。


その日羽生くんは宇野くんと各テレビ局巡りをしていたが、その中で強烈に覚えている言葉がある。
私の沼落ちを決定づけた一言が。

くりぃむの上田さんとのインタで、上記の
「金メダルを取ります」発言に対しての「自分を鼓舞するために?」という上田さんの質問に羽生くんはこう答えた。

「未来を確定させなきゃダメだなと」

⁈⁈⁈
ミライヲカクテイ⁈

その後に、「ちょっとしたメンタルのコントロールのしかた」と付け加えていたが、ちょっとした?メンタルの?コントロール

メンタルトレーニングは理解できる。
自分に向き合い自分を知り、より良いパフォーマンスを発揮する。
多くのアスリートが実践しようとしていることだろう。

でもでも、あれだけ注目されてる中であの一言を公言できるアスリートがどれだけいるというのか。
メンタルコントロールなんて遥かに超えている。

そう。遥かに超えてるんだ。
より良いパフォーマンスを、というレベルを遥かに超えて、あの不確かな状況であっても未来を確定させる、という異次元にいたのだ、羽生結弦という人は。

もちろん、それだけの事をしてきた自信があったからこそ言えたのだろうが、それにしても、である。
こわい。こわすぎる。
何て人なの、羽生くんーー。
一体何者なの、羽生くんーー。


そこからは、もう、一気です。
一気に底なし沼です。
詳細を語らずとも、お仲間なら分かってくださるでしょう。


こんなに面倒くさい落ち方をしたのはやはり、それだけ羽生結弦が当時の私にとって未知の存在だったからなのだろうと思う。

だからこそ未だに興味は尽きない。
面白い。面白すぎるのだ、羽生くんは。
おかしいという意味合いの面白いではなく、興味ある対象に向ける尽きない興味という意味合いでの面白い。

ほんと、羽生くんは面白い。


そして新シーズンが幕を開けた。

王者であり挑戦者でもあるスタート。
これまでなかったであろうスタート。

これだけの事を成し遂げてきた羽生くんにさらに何かを求めることはしたくないが、羽生くんが試合の場に立ち自らの勝利を望む限り、私も勝利を祈ろうと思う。

これから始まる試合を思うと今から既に緊張して、いざ試合本番は自分がどうなっているのか不安で仕方ないが、精一杯その緊張と向き合って応援していこう。

羽生くんがこれからも紡いでいくストーリーを追える幸せ。
その幸せを噛み締めながら。
羽生くんが怪我なくゴールまで走り切れるよう、今日もまたステイヘルシーを願う。


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私も公共の場で堂々と思いを掲げてきました!